2013年7月15日月曜日

その12 幻の猫

超人見知りで「まぼろしの猫」と呼ばれていますが、今後が心配です。(新潟県 50代女性)

なんりから

私がキャットシッティングを始めたのは、まさに我が家の「まぼろしの猫たち」がきっかけでした。

ドドとモモ、2匹のきょうだい猫は揃って超人見知りで、決して家族以外の人前に出て来ません。
遊びに来た友人たちにはよく
「ホントに2匹も猫がいるの?」
と言われたものです。

お客様が帰ってしまうまで、彼らは息を殺して、ロフトの奥に隠れています。
食事もトイレも我慢して、隠れているので、こちらのほうも気が気ではありません。

旅行の際、2匹を動物病院に預けたところ、獣医さんから
「ブルブル震えていて、ずっとごはんも食べず、おしっこもしません。これでは、とても預かれません」
と言われてしまいました。
獣医さんも本当に困ったのだと思います。

うーん、どうしたものか?
そこで、便利屋さんに自宅の鍵を預けて、通ってもらうことにしました。
これは、まぁまぁうまくいったのですが、留守中、便利屋さんもドドとモモの姿を見ることはなかったのです。

やがて、私は会社を辞め、2匹の猫たちと東京郊外に引っ越しました。
そして、引っ越しをした先で、獣医のOさんと知り合います。

O獣医の病院では、旅行中の犬や猫の預かりもしていましたが、
「猫ちゃんはおうちでお留守番するのが1番いいんですよ」
とおっしゃっていました。
我が家のドドとモモのような猫が案外多いのだそうです。

そこで、私は以前便利屋さんに頼んでいた仕事を専門化させたら?と思いつきました。
O獣医に、
「鍵を預かってお留守中の猫のお世話に通う、ベビーシッターの猫版みたいな仕事は需要があるでしょうか?」
と聞いてみたところ、
「それはいいですねぇ。ボク、応援しますよ」
と言ってもらえたのです。

1992年にスタートした「キャットシッターなんり」のお客様には幻の猫さんや人見知り猫さんがたくさんいます。
我が家のドドとモモのように動物病院に預けられない猫、ビビリで人前に出て来ない猫。

ですが、ずっと幻の猫のままということはないのです。
早ければ数日で、顔を見せてくれるようになる。
1回目は無理でも、2回、3回と通っているうちに、顔見知りになって行きます。

猫さんたちは、物陰から私の様子をじっくり観察し、
「コイツは大丈夫そうだ」
とわかれば、姿を見せ始めます。

猫さんが恐る恐る近寄ってきても、まだ私は手を出しません。
私のバッグや靴の匂いを嗅ぐ。
「フンフン、コイツ、いろんな猫の匂いをつけてるなぁ」
どの猫さんも匂いには敏感です。
それから、
「俺の匂いもつけてやるか」
と私のバッグや靴に、猫さんが口元をこすりつければ、認められた証拠。

猫は慎重な動物ですが、いったんオープンハートしてしまえば、数年後に会ってもちゃんと覚えていてくれます。
どうやら猫が人を判断する基準は、匂いや仕草、声、雰囲気、オーラなどのようです。
少なくとも外見でないことは間違いない。
ですから、表面的なウソやおべっかなどは猫に通用しません。

猫とつきあう時は正直に、誠実にすべし。

そんなこんなで、今年で22年目に突入したキャットシッティングサービス。
これまでに約1600軒を訪問、延べ5万匹以上の猫さんとおつきあいさせていただきました。
でも、残念ながら、まだまだ知らない方も多いようです。
ネット検索で「エリア キャットシッター」と入力してみてくださいね。

全国にキャットシッターが増えて、幻の猫さんたちが安心して、お留守番できるようになるといいなと思っています。
南里秀子のキャットシッター育成講座の情報はこちらから。


本日もお付き合いいただき、ありがとうございました。


「なんりひでこの猫よろず相談 シーズン2」は、今週で最終回です。
来週から、「シーズン3」を全12回でお届します。

お楽しみに!

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